外国人を日本で採用する際や、留学生が日本で就職する際に利用されることの多い「技術・人文知識・国際業務(技人国)」。
技人国の在留資格を申請したものの、残念ながら不許可となるケースもあります。
「大学を卒業しているから大丈夫だと思っていた」
「会社から内定をもらったので、問題なく在留資格を取得できると思っていた」
このように考えていても、学歴だけで技人国の在留資格が認められるわけではありません。
技人国の申請では、外国人本人の学歴や職歴だけでなく、実際に従事する仕事内容や雇用条件、勤務先の事業内容など、さまざまな事項を確認する必要があります。
この記事では、技人国の申請を検討している方に向けて、申請前に確認しておきたい5つのポイントを行政書士がわかりやすく解説します。
※個別の申請について、出入国在留管理庁の判断を事前に確定できるものではありません。ここでは、公開されている制度や申請書類等をもとに、一般的に確認しておきたい事項を紹介します。
技人国の申請で確認しておきたい5つのポイント
1.実際に行う仕事内容が技人国の対象になっているか
まず確認したいのが、日本で実際にどのような仕事をするのかという点です。
技人国は、どのような仕事でもできる在留資格ではありません。
出入国在留管理庁によると、技人国では、自然科学や人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務や、外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務などに従事することができます。
例えば、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務従事者などが該当例として挙げられています。
そのため、「外国人を採用する」というだけでは、技人国の在留資格を取得できるとは限りません。
重要なのは、採用後に実際にどのような業務を担当する予定なのかということです。
例えば、求人票では「営業職」となっていても、実際の業務内容を確認すると、技人国の対象となる専門的な知識・技術を必要とする業務なのか判断が必要になることがあります。
また、技人国で認められる活動と、それ以外の業務を区別して考えることも大切です。
申請前には、
- 具体的にどのような業務を担当するのか
- その業務にはどのような知識・技術が必要なのか
- 雇用契約書などに記載されている仕事内容と実際の業務内容に違いがないか
といった点を確認しておきましょう。
2.学歴・専攻や実務経験と仕事内容との関係を確認する
技人国では、申請する仕事内容だけでなく、その仕事に必要な知識・技術と外国人本人の学歴や職歴との関係についても確認が必要です。
例えば、大学で専門分野を学んでいたとしても、これから従事する仕事との関連性が問題となる場合があります。
出入国在留管理庁の案内では、技人国の「技術・人文知識」の活動について、関連する分野を専攻して大学を卒業したことや、一定の要件を満たした専門学校を修了したこと、一定年数以上の実務経験があることなどが基準として示されています。
そのため、「大学を卒業しているから技人国を取得できる」とは限りません。
例えば、「経済学部を卒業したので営業職に就く」というケースと、「文学部を卒業したが、卒業後にITエンジニアとして働く」というケースでは、確認すべき事項が異なります。
また、専門学校卒の場合には、専門士・高度専門士の称号や、専攻内容と仕事内容との関係などについても確認が必要です。申請前には、卒業証明書や成績証明書、在職証明書などを確認し、本人の経歴と予定している仕事内容との関係を整理しておくことが大切です。
3.雇用条件や報酬について確認する
技人国の申請では、仕事内容だけでなく、どのような条件で雇用されるのかについても確認する必要があります。
出入国在留管理庁が公表している提出書類には、労働契約を締結する場合の労働条件を明示する文書などが含まれています。
そのため、申請前には、
- 雇用期間
- 職務内容
- 勤務時間
- 報酬
- 勤務先
- その他の労働条件
などを確認しておきましょう。
特に、申請書に記載した仕事内容と雇用契約書の内容が異なっていたり、説明する仕事内容と実際の業務内容に食い違いがあったりすると、申請内容について十分な説明が必要になる場合があります。
また、技人国で働く外国人については、同じ業務に従事する日本人と比較して報酬が適正であるかという点も確認する必要があります。
単に「外国人だからこの給与」という考え方ではなく、職務内容や経験などを踏まえて、適切な雇用条件を設定することが重要です。
4.勤務先の事業内容と外国人の仕事内容に無理がないか確認する
技人国の申請では、外国人本人だけでなく、雇用する会社についても確認する必要があります。
出入国在留管理庁の提出書類には、勤務先の事業内容を明らかにする資料や、直近年度の決算文書などが含まれています。
例えば、
- 「会社では実際にどのような事業を行っているのか」
- 「その会社で、なぜ今回の仕事内容を担当する外国人が必要なのか」
- 「申請する仕事内容が会社の事業内容と合っているか」
といった点について、申請内容を整理しておくことが大切です。
特に、会社を設立したばかりの場合や、新しい事業を始める場合などは、既存の事業内容だけでは仕事内容を説明しにくいケースもあります。
そのような場合には、事業計画などを含めて、会社の事業内容と外国人が担当する仕事との関係を分かりやすく説明できるよう準備しておくことが重要です。
5.提出書類の内容に矛盾や不足がないか確認する
最後に確認したいのが、提出する書類全体の整合性です。
技人国の申請では、在留資格変更許可申請や在留資格認定証明書交付申請など、それぞれの手続きに応じた書類を提出します。
例えば、
- 在留資格申請書
- 雇用契約書・労働条件を明示する文書
- 履歴書
- 卒業証明書
- 在職証明書
- 会社の事業内容を説明する資料
- 決算書類
などがあります。
大切なのは、一つ一つの書類を用意するだけではなく、書類全体の内容がつながっているかを確認することです。
例えば、
- 申請書には営業職と書かれているが、雇用契約書では翻訳業務となっている
- 履歴書に記載されている職歴と、提出する在職証明書の内容が一致していない
- 会社の事業内容と、外国人が担当する仕事内容との関係が分かりにくい
といった場合には、申請前に内容を整理しておいたほうがよいでしょう。
また、必要書類を提出したとしても、申請内容について追加資料の提出を求められる場合があります。
そのため、単純に「必要書類を全部そろえれば大丈夫」と考えるのではなく、申請内容を第三者が見ても分かるように整理することが大切です。
技人国の申請で「不許可になる理由」は一つではありません
技人国の申請について、「この条件なら絶対に不許可になる」「この書類がないと必ず不許可になる」と一律に判断できるものではありません。
実際の申請では、外国人本人の経歴、仕事内容、雇用条件、勤務先の事業内容などを踏まえて申請することになります。
また、出入国在留管理庁が公表している情報だけでは、個々の申請について、どのような事情がどのように判断されたのかまで分かるものではありません。
そのため、インターネット上で見かける「このケースは絶対に不許可になる」といった情報については注意が必要です。重要なのは、自分のケースが技人国の要件に該当するのかを、申請前に一つずつ確認することです。
申請前に確認しておきたいチェックリスト
技人国の申請を検討している場合は、次の項目を確認してみましょう。
仕事内容
□ 実際に担当する業務内容を具体的に説明できる
□ 技人国の対象となる活動に該当するか確認している
□ 雇用契約書などに記載された仕事内容と実際の業務内容が一致している
学歴・職歴
□ 最終学歴を確認している
□ 専攻内容を確認している
□ 仕事内容と専攻・職歴との関係を説明できる
□ 必要に応じて卒業証明書や在職証明書などを準備している
雇用条件
□ 職務内容が明確になっている
□ 報酬や勤務時間などの条件が明確になっている
□ 雇用条件について必要な確認をしている
会社
□ 会社の事業内容を説明できる
□ 外国人が担当する仕事内容と会社の事業内容との関係を説明できる
□ 必要な会社関係書類を準備している
提出書類
□ 書類同士の内容に矛盾がない
□ 必要書類を確認している
□ 申請内容を第三者にも分かるように整理している
技人国の申請は「条件を満たしているか」を事前に整理することが大切
技人国の在留資格を取得するためには、外国人本人の学歴や職歴だけでなく、実際に行う仕事内容や雇用条件、勤務先の事業内容など、複数の事項を確認する必要があります。
特に、
- 「この仕事で技人国を取得できるのか分からない」
- 「大学の専攻と仕事の内容が違うけれど大丈夫?」
- 「専門学校卒でも申請できる?」
- 「会社として外国人を採用するのが初めてなので、何を準備すればいいか分からない」
という場合には、申請前に一度内容を整理しておくと安心です。
技人国の申請では、単に書類を集めるだけでなく、外国人本人の経歴・仕事内容・雇用条件・会社の事業内容を一つの申請として整理することが重要です。
技人国の申請でお困りの方は行政書士へご相談ください
技人国の在留資格申請は、外国人本人の学歴や職歴だけで判断できるものではありません。
- 「この仕事内容で申請できるのか」
- 「自分の学歴と仕事は関係しているのか」
- 「会社としてどのような書類を準備すればよいのか」
など、申請前の段階で確認しておきたいことも多くあります。
当事務所では、技人国をはじめとする在留資格の申請についてご相談を承っています。
申請を進める前に、ご自身のケースで確認しておきたい点がある方は、ぜひ行政書士へご相談ください。

