永住許可申請とは?必要な要件・在留年数・申請の流れを行政書士が解説

  • 「日本で長く暮らしているので、そろそろ永住許可を取得したい」
  • 「永住許可を申請するには、何年日本に住んでいればいい?」
  • 「年収や納税、年金などはどのくらい重要なの?」

このように、永住許可申請について疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

永住許可を取得すると、在留資格「永住者」に変更され、活動内容や在留期間について、他の多くの在留資格に比べて大きな制限がなくなります。

一方で、永住許可は通常の在留資格変更とは異なり、一定の要件を満たしていることを慎重に確認したうえで申請する必要があります。

この記事では、永住許可申請について、現在の制度や「永住許可に関するガイドライン」に基づき、主な要件・在留年数・必要書類・申請の流れなどを行政書士がわかりやすく解説します。

※この記事は2026年9月時点の公表情報をもとに作成しています。個別の申請については、在留資格や家族構成、これまでの在留状況などによって必要な対応が異なります。

永住許可とは?

永住許可とは、日本に在留する外国人が、在留資格「永住者」への変更を希望する場合に、法務大臣から受ける許可です。

出入国在留管理庁によると、永住者は在留活動や在留期間について制限がない点で、他の在留資格と比べて在留管理上の制限が大きく緩和されています。

そのため、永住許可は一般的な在留資格変更とは別に、入管法第22条に基づいて審査されます。

永住者になると何が変わる?

たとえば、就労系の在留資格では、原則として認められた活動の範囲内で働く必要があります。

これに対して、永住者には在留資格による活動内容の制限がありません。

そのため、

  • 転職して職種が変わる
  • 会社を辞めて別の仕事をする
  • 会社員から自営業になる
  • 専業主婦・主夫になる

といった場合でも、就労資格のように活動内容に応じて在留資格を変更する必要はありません。

ただし、永住者になった後も在留カードの更新や住居地の届出など、外国人として必要な手続きがなくなるわけではありません。

永住許可申請の主な要件

永住許可について、入管法上は大きく、

  1. 素行が善良であること
  2. 独立して生計を営むことができること
  3. 永住が日本の利益に合すると認められること

という要件が定められています。

日本人、永住者または特別永住者の配偶者・子などについては、一部の要件が緩和されています。

ここから、それぞれの内容を見ていきます。

1.素行が善良であること

「素行善良要件」と呼ばれるものです。

永住許可に関するガイドラインでは、法令を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることが求められています。

そのため、犯罪や交通違反などの事情がある場合には、その内容や時期などについて確認が必要になります。

なお、永住許可の審査では個々の事情が考慮されるため、「違反が1回でもあれば必ず不許可になる」といった単純な判断はできません。

2.独立して生計を営むことができること

「独立生計要件」と呼ばれるものです。

永住許可に関するガイドラインでは、日常生活において公共の負担となっておらず、資産や技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることが求められています。

ここでは、単純に「年収が○万円以上なら必ず大丈夫」という基準だけで判断できるものではありません。

たとえば、

  • 収入の状況
  • 雇用の安定性
  • 世帯の生活状況
  • 扶養家族の人数
  • 資産の状況
  • 今後の生活の安定性

など、申請人の状況を総合的に確認することが重要です。

また、永住許可の申請では、納税だけでなく、公的年金や公的医療保険の保険料についても適正に履行していることが重要になります。

3.日本の利益に合すると認められること

「国益要件」と呼ばれるものです。

この要件には、在留年数だけでなく、公的義務の履行や現在の在留資格、在留状況など、複数の項目が含まれています。

主なポイントとして、次のようなものがあります。

原則として10年以上日本に在留していること

原則として、引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。

さらに、その10年のうち、就労資格または居住資格をもって5年以上継続して在留していることが求められます。

ただし、技能実習や特定技能1号による在留期間は、この「就労資格による5年以上」の期間には含まれません。

ただし、すべての人が「10年以上日本に住まなければ永住申請できない」というわけではありません。

後述するように、一定の条件を満たす場合には、10年という原則が緩和されます。

税金・年金・健康保険などの公的義務

永住許可では、納税だけでなく、公的年金や公的医療保険の保険料、入管法上の届出などの公的義務を適正に履行していることも重要です。

特に注意したいのが、「現在は支払っているから問題ない」とは限らない点です。

現行の永住許可に関するガイドラインでは、申請時点で納付済みであっても、当初の納付期限内に履行されていない場合には、原則として消極的に評価される旨が明記されています。

そのため、永住許可を検討する場合は、申請直前だけではなく、過去の納税・年金・健康保険などの状況を確認しておくことが大切です。

現在の在留資格の在留期間

国益要件の一つとして、現在有している在留資格について、原則として最長の在留期間をもって在留していることが求められます。

なお、現行ガイドラインでは、2027年3月31日までの間、在留期間「3年」を有する場合には、一定の取扱いとして「最長の在留期間をもって在留している」ものとして扱うこととされています。

2027年4月1日以降は取扱いが変わる予定であるため、今後申請する方は申請時点の最新情報を確認する必要があります。

永住許可は10年住めば取得できる?

「日本に10年住んだから永住できる」と考えてしまう方もいますが、10年の在留は永住許可の要件の一つにすぎません。

原則として、

  • 引き続き10年以上日本に在留していること
  • そのうち5年以上、一定の就労資格または居住資格で在留していること
  • 素行が善良であること
  • 安定した生活が見込まれること
  • 税金・年金・健康保険などの公的義務を適正に履行していること
  • 現在の在留資格について必要な要件を満たしていること

などを確認する必要があります。

したがって、在留年数だけで永住許可の可能性を判断することはできません。

10年未満でも永住許可を申請できる場合がある

永住許可には、原則10年在留についての特例があります。

代表的なものは次のとおりです。

日本人・永住者・特別永住者の配偶者

日本人、永住者または特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留している場合には、原則10年の在留要件が緩和されます。

また、その実子等についても、1年以上日本に継続して在留している場合に特例があります。

定住者

「定住者」の在留資格で5年以上継続して日本に在留している場合にも、原則10年の在留要件が緩和されます。

高度人材・高度専門職

高度専門職に関するポイント制度を利用している方には、一定の条件を満たすことで、1年または3年の在留で永住許可を申請できる特例があります。

たとえば、一定の要件を満たす70点以上の高度人材については3年、80点以上の場合には1年に短縮される特例があります。

また、特別高度人材についても別の特例があります。

このほかにも、難民認定を受けた方や日本への貢献が認められる方など、在留年数の特例があります。

永住許可申請に必要な書類

永住許可申請に必要な書類は、申請人の現在の在留資格や身分・地位によって異なります。

一般的には、

  • 永住許可申請書
  • 写真
  • 住民票
  • 職業を証明する資料
  • 所得・納税に関する資料
  • 年金・健康保険に関する資料
  • 資産を証明する資料
  • 身元保証書
  • 了解書
  • 永住許可を希望する理由を記載した理由書

などを準備します。

たとえば、会社員の場合には在職証明書、自営業の場合には確定申告書控えや法人の登記事項証明書など、職業によって必要な資料が変わります。

また、申請人が日本人の配偶者などの場合には、戸籍謄本や婚姻関係を証明する資料などが必要になることがあります。

そのため、「永住許可申請の必要書類は全員同じ」と考えず、自分の在留資格や家族関係に応じた書類を確認することが重要です。

永住許可申請の流れ

一般的な申請の流れは次のとおりです。

STEP1 永住許可の要件を確認する

まず、

  • 在留年数
  • 現在の在留資格
  • 就労・居住歴
  • 収入・資産
  • 納税状況
  • 年金・健康保険の加入・納付状況
  • 過去の交通違反等
  • 家族関係

などを確認します。

特に、過去の納税・年金・健康保険の状況については、申請前に確認しておくことが重要です。

STEP2 必要書類を準備する

申請人の状況に応じて必要書類を収集します。

日本で発行される証明書については、原則として発行日から3か月以内のものを提出することとされています。

また、外国語で作成された資料については、日本語訳の添付が必要です。

STEP3 永住許可申請を行う

申請人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請します。

申請は原則として申請人本人が行いますが、一定の要件を満たす行政書士などが申請を取り次ぐこともできます。

STEP4 審査

東京出入国在留管理庁の公表する標準処理期間は、現在10カ月前後です。

ただし、標準処理期間はあくまで目安であり、個別の申請内容や追加資料の提出などによって、これより時間がかかる場合があります。

審査の途中で追加資料の提出を求められる場合もあります。

STEP5 許可後の手続き

永住許可が認められると、「永住者」の在留資格が付与されます。

なお、永住許可申請中に現在の在留資格の在留期間が満了する場合には注意が必要です。

永住許可申請をしているだけで、現在の在留資格の在留期間が自動的に延長されるわけではありません。

そのため、永住許可の審査中に在留期間が満了する場合には、別途、在留期間更新許可申請を行う必要があります。

永住許可申請で特に確認しておきたいこと

永住許可を検討する場合、申請書を書くだけではなく、これまでの在留状況を一度整理しておくことをおすすめします。

税金だけでなく年金・健康保険も確認する

永住許可では、公的義務の履行が重要です。

税金を支払っているかだけでなく、

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 国民健康保険
  • 健康保険
  • その他の公的義務

についても確認しておきましょう。

特に、過去に未納や納付遅れがある場合には、いつ、どのような事情で発生したものなのかを整理しておくことが大切です。

転職や独立をしている場合は在留状況を整理する

転職や独立をしている場合には、これまでの職歴や在留資格との関係を確認する必要があります。

現在の仕事だけを見るのではなく、これまでどのような在留資格で、どのような活動をしてきたのかを整理しておきましょう。

家族の状況も確認する

永住許可申請では、申請人本人だけでなく、世帯の状況が関係する場合があります。

配偶者や子どもがいる場合には、家族の収入・扶養状況・在留資格なども含めて確認しておくと安心です。

2026年以降の永住許可申請で注意したい制度変更

永住許可については、近年制度や運用に関する見直しが行われています。

また、2026年10月1日から、在留資格変更・在留期間更新・永住許可などに関する手数料が改定される予定です。申請時期によって適用される手数料が異なるため、これから申請する場合は、最新の手数料を確認する必要があります。

さらに、永住許可に関するガイドラインについても今後の変更が予定されている事項があります。

永住許可を検討している方は、古いインターネット記事だけを参考にせず、申請時点の最新情報を確認することが重要です。

永住許可は「10年住んでいるから大丈夫」とは限りません

永住許可は、日本に長く住んでいることだけで取得できるものではありません。

在留年数に加えて、

  • 素行
  • 収入や生活の安定性
  • 納税状況
  • 年金・健康保険の納付状況
  • 現在の在留資格
  • 過去の在留状況
  • 家族関係

など、さまざまな事情を確認する必要があります。

また、10年未満でも特例によって申請できる場合があります。

「自分の場合は永住許可を申請できるのか」「今申請するべきなのか」「もう少し待った方がよいのか」といった点は、個々の事情によって変わります。

永住許可申請をご検討の方は行政書士へご相談ください

永住許可申請では、必要書類を集めるだけでなく、これまでの在留状況や納税・年金・健康保険などの状況を整理したうえで申請することが大切です。

Stairs行政書士事務所では、永住許可申請について、現在の在留資格や在留歴、家族構成、収入・納税状況などを確認しながら、申請に向けた準備をサポートしています。

  • 「自分は永住許可の要件を満たしている?」
  • 「10年経っていないけれど申請できる?」
  • 「必要書類が多く、何を準備すればいいかわからない」
  • 「過去の納税や年金の状況が気になる」

このような場合も、まずはご相談ください。

永住許可申請をお考えの方は、申請前に現在の状況を整理し、必要な準備を確認しておくことをおすすめします。

目次