建設業許可を取得しようとすると、「どのような書類を準備すればいいの?」「法人と個人事業主では必要な書類が違う?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
建設業許可の申請では、申請書を作成するだけではなく、許可要件を満たしていることを確認するためのさまざまな書類や資料を準備する必要があります。
特に、経営経験や実務経験などを証明する資料については、過去の勤務先や事業の資料を確認する必要があるため、申請を考えた段階から準備を始めることが大切です。
この記事では、建設業許可の申請で必要となる主な書類について、法人と個人事業主に分けて解説します。
建設業許可の申請では「申請書」と「確認資料」が必要
建設業許可の申請では、大きく分けて「許可申請書」と「許可要件を確認するための資料」を準備します。
建設業許可の申請書には、建設業許可申請書のほか、工事経歴書や直前3年の各事業年度における工事施工金額、使用人数、誓約書など、申請内容に応じた書類があります。
また、申請書とは別に、経営経験や営業所技術者等の資格・実務経験、営業所の状況、社会保険への加入状況などを確認するための資料が必要になる場合があります。
そのため、「申請書を書けば申請できる」というわけではありません。
また、必要な書類はすべての申請で同じではなく、次のような事情によって変わります。
- 法人か個人事業主か
- 新規申請か更新申請か
- どの業種の許可を取得するか
- 一般建設業か特定建設業か
- 経営経験や実務経験をどのように証明するか
- 申請先がどこか
この記事では、新規で建設業許可を取得する場合を中心に、主な書類と準備のポイントを紹介します。
建設業許可申請で準備する主な書類
建設業許可の新規申請では、申請内容に応じてさまざまな書類を作成・準備します。
主なものとして、次のような書類があります。
建設業許可申請書
建設業許可を申請するための基本となる書類です。
申請者の情報や営業所、許可を受けようとする業種などを記載します。
役員等の一覧表
法人の場合には、役員等について記載する書類があります。
申請者や役員等については、欠格要件に該当しないことなどを確認するための資料も必要になります。
営業所一覧表
建設業を営む営業所について記載します。
営業所の所在地や、どの営業所でどの業種を取り扱うのかなどを確認します。
営業所技術者等に関する書類
建設業許可では、営業所ごとに一定の要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。
営業所技術者等については、資格や実務経験を証明する書類のほか、常勤性を確認するための資料などが必要になる場合があります。
なお、「専任技術者」という呼び方が一般的ですが、現在の制度上は「営業所技術者等」という名称が使われています。
工事経歴書
これまでに行った工事について、工事の内容や請負金額などを記載します。
実績のない業種についても、申請内容に応じた記載方法があります。
直前3年の各事業年度における工事施工金額
直前3年間にどの程度の工事を施工したのかを業種ごとに記載します。
使用人数
営業所に勤務する人数などを記載します。
誓約書
申請者等について、建設業法上の欠格要件に該当しないことを確認するための書類です。
このほかにも、常勤役員等の略歴書、許可申請者の住所・生年月日等に関する調書、株主・出資者に関する書類など、申請内容に応じた書類を準備します。
法人が建設業許可を申請する場合に必要な書類
法人が建設業許可を申請する場合には、個人事業主とは異なり、法人の存在や役員、定款などを確認するための書類が必要になります。
登記事項証明書
法人の商号、所在地、役員などを確認するための書類です。
建設業許可の申請では、法人の登記内容と申請書の記載内容が一致しているかを確認する必要があります。
定款
法人の目的などを確認するため、定款の提出・確認が必要になる場合があります。
建設業を営むことが法人の目的に適切に反映されているかなど、申請前に確認しておくと安心です。
役員に関する書類
法人の場合は、役員等について確認するための書類を準備します。
役員等の氏名や住所、生年月日などに関する調書のほか、欠格要件に関する確認資料などがあります。
株主・出資者に関する書類
法人の形態などに応じて、株主や出資者に関する書類を準備します。
法人の納税関係書類
法人の納税状況を確認するための納税証明書などが必要になります。
どの年度のものが必要になるか、どの税目の証明書が必要になるかは、申請内容や申請先によって確認が必要です。
個人事業主が建設業許可を申請する場合に必要な書類
個人事業主の場合は、法人のような登記事項証明書や法人の定款はありません。
その一方で、事業主本人の情報や、これまでの事業・経営経験を確認するための資料などを準備します。
申請者本人に関する書類
個人事業主の場合は、事業主本人が申請者となります。
住所、生年月日などの情報を確認するための書類や、欠格要件に関する確認資料などを準備します。
経営経験を確認する資料
建設業許可では、経営体制について一定の要件を満たしている必要があります。
そのため、過去の建設業に関する経営経験などを確認するための資料が必要になる場合があります。
個人事業主の場合は、過去の確定申告書や契約書、請求書など、事業を実際に行っていたことを確認できる資料について確認が必要になるケースがあります。
個人の納税関係書類
個人事業主の場合は、法人とは異なる納税関係書類を準備します。
申請する自治体や申請内容によって必要な書類が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
法人と個人事業主で何が違う?
法人と個人事業主では、基本的な許可要件そのものだけではなく、それを証明するために準備する書類にも違いがあります。
大まかに整理すると、次のようになります。
| 確認項目 | 法人 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| 建設業許可申請書 | 必要 | 必要 |
| 工事経歴書等 | 必要 | 必要 |
| 経営経験の確認資料 | 必要 | 必要 |
| 営業所技術者等の確認資料 | 必要 | 必要 |
| 資格・実務経験の証明 | 必要に応じて | 必要に応じて |
| 登記事項証明書 | 必要 | 不要 |
| 定款 | 必要となる場合あり | 不要 |
| 株主・出資者に関する書類 | 必要に応じて | 不要 |
| 法人の納税関係書類 | 必要 | 不要 |
| 個人の納税関係書類 | 不要 | 必要 |
ただし、これはあくまで大まかな違いです。
実際の必要書類は、法人・個人の別だけではなく、申請する許可の種類や業種、これまでの経験、申請先などによって変わります。
建設業許可の申請で特に準備に時間がかかりやすい書類
建設業許可の申請では、申請書そのものを作成することよりも、過去の経験などを証明する資料の収集に時間がかかるケースがあります。
経営経験を証明する資料
経営経験を要件の根拠とする場合には、過去にどのような立場で、どのような事業に携わっていたのかを確認し、その経験を裏付ける資料を準備する必要があります。
昔の会社での経験を証明する場合などは、当時の資料が残っているかどうかを確認するところから始めなければならないこともあります。
実務経験を証明する資料
資格ではなく実務経験によって営業所技術者等の要件を満たす場合には、実務経験を証明するための資料が必要になります。
過去の勤務先や工事内容、経験期間などを確認する必要があるため、早めに準備を始めることが大切です。
常勤性を確認する資料
常勤役員等や営業所技術者等については、現在その事業者に常勤していることを確認するための資料が必要になる場合があります。
現在の勤務状況を確認できる資料を準備しておきましょう。
営業所に関する確認資料
建設業許可では、営業所についても一定の要件があります。
営業所の所在地や使用状況などを確認するため、営業所の写真や使用権原を確認する資料などが必要になる場合があります。
財務関係の資料
建設業許可では、請負契約を適正に履行するための財産的基礎等についても確認されます。
そのため、財務諸表や納税関係書類など、財務状況を確認するための資料を準備します。
申請内容によっては、預金残高証明書などが必要になる場合もあります。
必要書類は「集めてから考える」のではなく、先に要件を確認する
建設業許可の申請で重要なのは、最初に必要書類の一覧だけを見ることではありません。
先に確認したいのは、
- どの業種の許可を取得するのか
- 一般建設業か特定建設業か
- 経営経験をどのように証明するのか
- 営業所技術者等の要件をどのように満たすのか
- 財務要件をどのように確認するのか
- 営業所について必要な資料は何か
といった点です。
つまり、「書類を集める」→「要件を確認する」ではなく、「要件を確認する」→「その要件を証明できる書類を集める」という順番で準備することが大切です。
特に、経営経験や実務経験を証明する資料は、すぐに用意できるとは限りません。
「許可を取りたい」と思った段階で、過去の資料を確認しておくと、その後の申請準備を進めやすくなります。
書類を準備するときに注意したいポイント
書類同士の内容を一致させる
申請書だけでなく、登記事項証明書、資格証明書、納税関係書類など、複数の資料を確認します。
会社名、所在地、氏名、役職などに食い違いがないか確認しましょう。
過去の資料は早めに探す
経営経験や実務経験を証明する場合、何年も前の資料が必要になることがあります。
以前の勤務先や取引先に確認しなければならないケースもあるため、申請直前になって探し始めるのは避けたほうが安心です。
申請先の最新の手引を確認する
建設業許可の必要書類は、制度改正や申請先によって取扱いが変わることがあります。
東京都知事許可の場合も、東京都が公開している最新の手引を確認して準備する必要があります。
建設業許可の必要書類チェックリスト
最後に、建設業許可の新規申請で確認しておきたい項目をまとめます。
申請書類
- 建設業許可申請書
- 営業所一覧表
- 営業所技術者等一覧表
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 使用人数
- 誓約書
- 常勤役員等に関する書類
- 営業所技術者等に関する書類
- その他、申請内容に応じた書類
確認資料
- 経営経験を確認する資料
- 営業所技術者等の資格・実務経験を確認する資料
- 常勤性を確認する資料
- 営業所に関する資料
- 社会保険の加入状況を確認する資料
- 財務状況を確認する資料
- 納税関係書類
- 法人の場合は登記事項証明書など
- その他、申請内容に応じた確認資料
※実際に必要となる書類は、法人・個人事業主の別、申請する許可の種類、業種、申請区分、経験の証明方法、申請先などによって異なります。
まとめ|建設業許可は必要書類の確認から早めに準備しましょう
建設業許可の申請では、申請書を作成するだけでなく、許可要件を満たしていることを確認するためのさまざまな資料を準備する必要があります。
特に注意したいのが、経営経験や実務経験を証明するための資料です。
過去の勤務先や事業の資料などが必要になることもあるため、建設業許可の取得を考えている場合は、できるだけ早い段階で必要な資料を確認しておきましょう。
また、必要書類は法人と個人事業主で異なるほか、申請する業種や許可区分、これまでの経験などによっても変わります。
「自分の場合は何を準備すればいいのかわからない」
「経営経験や実務経験をどうやって証明すればいいかわからない」
という場合は、まず現在の状況を整理し、どの要件をどの資料で証明するのかを確認することが大切です。
当事務所では、建設業許可の取得に向けて、必要な要件や書類を確認しながら申請準備をサポートしています。
建設業許可の取得を検討されている方は、お気軽にご相談ください。

